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ネトゲ戦記 第三部「対谷直史さん損害賠償請求事件⑪」

地裁のときと同じく、争点と鑑定結果が出たということで「最終準備書面」というのを双方が提出することになった。この裁判で判定してほしい事を書くので、彼側の書面は「鑑定には不満があるし谷直史さんの行為は一連の不法行為だ」程度だ。

 

対する谷直史さんの書面は2部構成になっている。この高裁においてはこの主張が最後のチャンスということになるからだろう。これらの書面を読んだ彼の感想は、一言でいうと「おセンチ」だった。弁護士の作戦なのか、依頼人である谷直史さんの意向なのかはわからないが、まるで講談なのだ。

 

ベケベン!はじめに!本件については濁りなく事実を見つめていただきたい。のっけから飛ばしてくる。ちなみに、細かい点でツッコミを入れるなら、6億にまで膨れ上がったのは谷直史さんの不法行為ということで弁護士費用も乗せたことと裁判の遅延損害金(本件で年利5%)も含めた金額だ。

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そこからは、地裁でバッサリ切られたようなことも含めて、全てを主張し直していくことになる。たとえば「この新株発行が不法行為であることは、原告のその余の主張をとりあげるまでもない」と断じられたことさえも、「自分に都合のいい要素」だけをつなぎ合わせて主張する。

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これはあくまで彼の感覚だが、この辺なんてのは完全にぶった切られた要素である上に、高裁でも争点にされていない。最終準備書面でいきなり蒸し返したところで、ここでひっくり返る可能性はほぼゼロではないかと思う。だって、「もし不法行為か否か」でひっくり返すなら、鑑定をする必要がない。

 

それでも主張するのは、「可能性はゼロじゃない」と思うのか、「依頼者、ここでは谷直史さんに共感し慰撫するため」なのかのどちらかじゃないかと思うが、彼側の弁護士はこういう講談はやらず、必要な事項だけ書いているし、その方が裁判官に”読んでもらえる”とは思うのだが。

 

これも、株式会社グラニの末期が逆に華々しかったように、負けを覚悟した時の腹積もりとして、「言いたいことを全て言ってスッキリしておく」みたいな気持ちがあるのかもしれない。そう思えるくらい、末期の谷直史さんの書面は、法で判断される裁判なのに感情に訴えようとする風潮が強いのだ。

 

裁判をやったことないとこういうのはわからないだろうが、「最終準備書面」とは、その後相手が反論できない最後に提出する書面で、ここでの主張が新しく採用されるということはほぼほぼありえない。最終準備書面の前に、「双方もう言いたいことは終わりましたか?」という確認をする。それが裁判だ。

 

裁判という戦争は、判決という結果に向かって「裁判官わからせ」を積み上げ合うゲームであって、裁判官が「もういいでしょう、結審します」と言うのは、最終準備書面を出して終わりますという意味で、「もう勝敗は決しました」という意味に等しい。最終準備書面は形式的なものでしかないと思う。

 

もちろん、例えば本件でいうなら、「鑑定結果にある重大なミス」とかを指摘すればそれが反映されることはある。というか、株価決定のときに彼側が間違いを見つけて訂正を求めたら、「間違ってたから訂正するけど計算方法変えてもっと値段を下げます」という無茶苦茶な訂正を食らった。

 

新株発行の目的もいまだに「どう見ても資金調達」だと言いたいらしい。これも、原審の判決やここまでの争点を鑑みれば、「言うだけ無駄」という風に彼は思うのだが、言わないと気がすまなかったのだろうか。文章に感情が込められているのがわかるだろうか?どうかわかってくださいという気持ちが。

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裁判所は「谷直史さんに彼を追い出す意志があったことは録音やその後の行動などから明白」と認定したわけだが、言い訳のできないところは一切触れず、「合法な手続きを踏襲したから合法であり、彼も退職に納得していることから明らか」らしい。何故彼の退職と株が関係あるのか、ツッコミを入れたい

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ここまでが前半で、ここからが後半だが、後半でもまた「はじめに」で、「このような判決が認められては今後の新株発行に禍根を残す」らしい。彼が「こんな不法行為が認められたら、今後の新株発行とベンチャー企業は終わる」と主張したのを根に持っていたのだろうか。

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ここからは最終準備書面なのに新説が飛び出す。「この不正取得がなければ、2018年にグラニは14億で売れたから、その8%は1億だったはずだ。2013年に6億なのはおかしい」だそうだ。どこから突っ込んでいいのかわからない。不正取得せずに、裁判のストレスがなければ会社も傾かなかったかもね

 

このあとは、高裁で行われた鑑定についての無茶苦茶な理論、例えば「その後裁判で支払った金も2013年に原因が発生しているから費用として株価鑑定に使うべきだ」とか、「有利発行自体は合法だから、不法行為だとしても有利発行の差額を減額すべきだ」とか珍説が飛び出すが詳細は割愛する。

 

谷直史さんの最終準備書面は彼には全然怖く思えなかったので、高裁の判決を待つ間のストレスは、地裁や鑑定を待つ時に比べれば心穏やかに過ごせた。常人ならギリギリ耐えられない程度の苦痛でしかなかったと思う。コロナで判決が伸びたりもあったが、やっと判決が出た。

 

判決は高裁の場合、「元の判決から変更した部分」がある場合、その変更した部分を書いていく形になり、かなり読みづらい。地裁の6.5億払えから変更し、金利を含め、5.4億払えとの判決だった。

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実際に変更された部分を見てみると、このように福永、改め「第1審原告と同じく1月1日に取締役に就任していた福永」といったように、完全版というか、校正版というか、高裁の判決文だけで読んでもほとんどわからない物となっている。

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修正・変更部分ではない、「高裁の判断」の部分を見る。谷直史さんの主張は地裁での主張の繰り返しに過ぎず、MOMなどという理論が通らないことは明らかである。要するに、谷直史さんの講談主張は通らなかった。

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谷直史さんの新株発行目的についても、主張する資金調達目的は不明であるし、入金も予定されていたし、他に調達方法もあったのであって、「仮装の理由付けといわざるを得ず、彼を追い出すことこそが目的であった」と、当然でありながらもっとも立証が難しいと言われたことも認定された。

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高裁判決の締め文はこのようになっている。彼側の株価決定での計算ミスを指摘した件や、一連の連続した不法行為であるという主張も採用されなかった。採用されたら9億超えだったし、そうあるべきだと彼は思ったが。

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彼は納得がいかない点もあったが、もう裁判は疲れたから、相手がやりたがらないなら最高裁はやらなくてもいいよと連絡したが、谷直史さんは最高裁までやってみたいということなので、彼も受けることにした。

 

日本の裁判は地裁・高裁・最高裁と3審制となっているが、地裁・高裁が事実を争う事実審、最高裁は法律を争う法律審と別物であり、最高裁は「法律の判断の誤りや、憲法違反、過去の判例との矛盾」の場合には判定し、それ以外は殆ど棄却するという、別物の裁判となっている。

 

まあ、やるというからには彼側もきっちり用意して最高裁に挑むが、最高裁は審議されること自体が1%くらいで、99%は却下されるだけだとデータがある。勿論、ガチャと違って、裁判は中身で判定されるものであるから、確率が物を言うわけではないのだが。

 

彼側の法律論が最高裁で採用されると、谷さんは「彼がやめてもいいといったのに最高裁に挑んだせいで損失に3億ちょっとおかわり追加」という最高の形になるし、楽しそうだなとは思う。逆に彼が負けたら、遅延損害金の金利が苦しくて裁判が終わってないのに支払ってきた5.4億を返さねばならない

 

こう書くと裁判が終わってないかのように見えて、なぜ彼が今心穏かなのか不思議だろう。ただ、「事実審が終わり、谷さんの行為の数々が事実認定としてある状況」から逆転負けする可能性があるとは彼はあんまり思えないのだ。

 

「それはそれで日本の株式制度の終わりを意味する盛大な最高裁判決」になるし、そもそも最高裁がそんなに大変なものであると弁護士ならわかってるはずだから、「覆せるような何か武器」があるなら最高裁までやらずとも、高裁で出すはずだ。出し惜しみする理由が無い。

 

とすると、彼は「統計としては1%くらいしかそもそも審議されないようなもの」と思った最高裁を、谷直史さんは「1%の確率で逆転できるガチャ」だと思ったのだろうか?それとも、高裁判決を読んだ時にいなずまのようなヒラメキでもあったのだろうか?わからないが。

 

彼は弁護士を変えてないが、谷直史さんは何度も何度も交代させている。どういう報酬体系か知らないが、弁護士費用だけでも彼の何倍かになってたりするのだろうか。黒騎士と白の魔王の末期にじゃぶじゃぶ謎イベントを打ったような気質からすると、引き返せなくなってるのだろうか。

 

最高裁は多分谷直史さんも、株式会社グラムスで作っている新作があるから、裁判という負担は解消したいだろうしやらないと思ってたが、やりたいというのは、何か考えがあるのだろう。

 

ネトゲ戦記として振り返った、UOとの出会いから始まった彼の戦いはここで一旦終わる。また書くことがあれば書くだろう。ネトゲ戦記の後にも彼の人生は続く。

おわり?