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ネトゲ戦記 第三部「対谷直史さん損害賠償請求事件④」

谷直史さん側からの新しい証拠や主張が一通り出てきたので、一旦それらの整理と対応に専念することになる。相手の主張の中で、法律的におかしいところを抜き出してまとめ、「どの法律(会社法等)にどうして違反しているのか」というのをまとめて主張していく。

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結局谷直史さんの言いたいことは、「賛成した入倉孝大とか相川雄太達には、事前にグラニの時価総額が2億円くらいだと伝えて、そのうえで10万円で買い取ることに同意させた」という、隠してきた証拠をここで提示し、これをもって「だから正当で賛成された株式だった」という主張をしたいようだ。斬新すぎる

 

何度も言うが、谷直史さんの主張が通るなら、「株式会社」という制度は終わる。谷直史さんがやったことは、会社法の抜け穴をついて少数株主を排除した「脱法行為」と言うべきものであり、まともな経営者(何人かに聞いた)ならば、一笑に付すような異常なやり口だ。

 

だが、「脱法行為」、つまり”まるで違法なことを合法的なやり口で行う”ことは、ひょっとしたら合法として通るかもしれないということだ。だから、谷直史さん側からの、これらの「事前に準備してたし、彼にだけ見せてなかっただけで、実はそれ以外の株主とは共謀し同意を得ていた」という新証拠は助かった

 

彼はそういう裏の事情はあるだろうなと思っていたが、それは「立証出来ない事実」であり、裁判においては無いに等しい。それが相手を揺さぶったら転がり出てきたのだ。僥倖といえよう。彼は谷直史さん側のこの一連の新主張は失策であったとおもう。谷直史さん側は、彼への扱いの不当さを自ら立証したと思う

 

ここで谷直史さん側から新しい主張が出てきた。「彼は株に8万円を入れただけなのに、6億とか得るのは道理としておかしい」。この主張は高裁の判決直前まで何度も繰り返し谷さんから主張される。法律の根拠もないし、株式とはそういうものだ。

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それを言ったら、谷直史さんは瞬間的に時価総額100億のグラニを手中に収めた。「1円も出さず、63万で株式を引き受け、自分には給料を出し、彼には500万円を出させた谷直史さん」が、瞬間理論的にだが、100億を得ていたのだ。その後グラニの価値が14億まで落ちたのは、時代の流れと谷さんの経営手腕だと思う

 

そしてこれは、彼が持っていた持ち分の8%を「谷直史さんが脱法行為で強制取得し」たので、「それが不法行為であると立証し損害賠償を求める」事件である。強制的に奪ったのは谷直史さんであって、彼が株を持ち続けていただけだったら、グラニ最終価格の14億の8%、1億程度で終わっていた話だ。

 

まあそれを言ったら、GREEが仲裁に入った時に5000万円で終わらせるのが谷直史さん側の一番安上がりな解決策だったと結果論では言えるのだが。いや、そもそも論をどこまでも持ち出すなら、彼を裏切らなければグラニはどうなっていたか…まあ歴史にもしもはない。

 

ちなみに、「入倉孝大や相川雄太らとだけ情報を共有し、追ってスクイーズアウトをかけて彼の株式を剥奪することを企図していたこと」を「MOM」だと言い張りつつ、それでもあくまで「この新株発行は不意に思いついた資金調達のため」という主張は続けていた。そんな馬鹿な。内心の自由すぎるだろ。

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ただ、谷直史さん側の弁護士は何度も交代しているのだが、この損害賠償請求事件のときにメインになった弁護士が一番手強かったと思う。おそらく、最初にこの弁護士が入ってたら、彼は負けていたんじゃないかな。弁護士の力量は、書面を読むよりも、「その弁護士に証人尋問を受ける」とわかる。

 

相手側の弁護士が何度も交代するという事情から、「同一の事件に対し何人もの弁護士が書面を書いて突きつけてくる」という稀有な体験を彼はしたから、彼は書面でもだいたい力量がわかるようになったが…まあ、そんな一番手強そうな弁護士でも、ここまで事実がこじれてるとこんなもんだろう。

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相手からの新証拠をもとに「それこそが彼を不当に扱い、株主平等原則を無視した証左だ」と整理した彼の主張に対しては、「仮に彼に見せていても、反対したのは変わらないから、因果関係がなくて違法じゃない」という回答がきた。株主平等原則ってそういう話じゃないと思うんだが。

 

そして、「それこそが不正目的(彼の排除)での新株発行だった証左だ」という主張に対しては「そんなことはない。これは資金調達目的で、偶然”スクイーズアウトを計画していたとき”に”資金調達の必要が生じた"だけだ」という反論がきた。内心の自由とは恐ろしいものだ。

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ただここで、彼側の主張である「特別損害」に対し、「予見の可能性はなかった、なぜならグラニが次に出した、カプコンの超有名IPを使ったモンハンロアですら失敗したからだ。ゲームとはかくも水物である」という主張は、高裁で半ば採用される。やはりこの弁護士は手強いのだろう。要点は抑えてる

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モンハンロアで思い出した。GREEとの提携の話を谷直史さんが打ち明けたころ、夜中に谷直史さんに、他のIPでタイアップするならどれが稼げると思う?みたいな話をされたことがある。たぶんあの時から、谷直史さんはヴァルハラゲートのIP載せた版を作る気だったのだろうな。

 

ただ、さすがにモンハンロアが出た頃は、もうブラウザゲームの時代ではなかったと思うが…まあ、メインのアプリゲームにしようとして黒騎士と白の魔王に注力していたから、モンハンロアは低コストで出せるブラウザのままのIP載せた版になったのかなとか思う。

 

なお、ここで彼側も「法律学者」の意見書をもらってきて提出した。判例のない、法律の解釈に依る裁判とは、「法律学者の意見書」を取り寄せてのバトルになる。この法律学者には、依頼する前に彼も会いに行って、事件の内容を説明し話をした。

 

法律学者は、「こんな事件が認められては日本のベンチャーは終わる。おかしい、アメリカの判例も調べたがこんなのは通らない。是非意見書を書いて協力したい。値段はこれでいい」と、法律意見書の相場からはかなり安いらしい値段で受けてくれた。「これが認められたら」はこの法律学者の受け売りだ

 

なお、アメリカの判例をきちんと引用して反論したこの「法律学者の意見書」に対して、谷直史さん側からは「ここは日本だ、アメリカの判例を引用するな」と反論がきた。じゃあ日本の法律で定められてるルールで勝負しようよ。MOMなんて言い出さずにさあ。

 

この、お互いに法律学者から意見書を取り寄せたあたりで、彼はこの裁判はそう簡単なものではなく、まさに総力戦となるのだろうなと実感した。判例の無いこれは、暗中模索の、どう転ぶかわからない戦いなのだと実感した。これは判例として残る戦いだと腹を括った。