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ネトゲ戦記 第三部「対谷直史さん損害賠償請求事件①」

谷直史さんが彼の株を”谷直史さんの言う合法的な手段で0にするために”行ったのは、①第三者割当増資で谷直史さんを指名し、1株1万円で899株新株発行し100株→999株に希釈する②その上で強制取得(強制株取り上げ)の2つだった。この裁判は①での彼の損害を争うものだ。

 

本来、他人から株を回収したい場合は、交渉して取引するか、②で行った強制取得がある。彼は前述の通り、別にきちんと値段をつけて買ってくれるならそれで構わないと言っていたが、谷直史さんは強制的に①の異常な希釈化を行ってきた。

 

というわけで①の希釈化、これに対抗するために、まずはすぐに新株発行の無効化を申し立てた。しかしこれは、即日新株発行が実行されており、新株発行は遡及して取り消せないので、この申し立ては取り下げることになった。

 

次に株価決定の申し立ての中で、この希釈化は違法であり、希釈前の株数で株価を出すべきだと主張した。判決は、それは別件でやれとの判断と、希釈後すぐに行われた強制取得時点でのグラニ時価総額が約90億円という鑑定結果が出た。というのがここまでの流れだ。これは高裁まで争い確定した。

 

この裁判がもっともダイナミックで、双方法律学者の意見書や、四大と言われる大手の書類、途中での谷直史さん側の弁護士入れ替わりや追加などが起こった。判決で6億(地裁)とか5億4000万(高裁)とか出るような裁判だったからまあ、そりゃそうなるのか。

 

彼側の主張は、主位的請求と予備的請求という二本立てになった。主位は、これら①②は一連の不法行為であるから、損害は株価鑑定結果にしたがって計算したものであるというもの。予備的請求は、仮に一連の不法行為でなくとも、特別損害であるから、やはり株価鑑定の結果に従うべきというものだ。

 

他に彼らが立証しなくてはならないのは、「この谷直史さんが取った希釈化が違法行為であること」だ。不法行為で損害を与えたから賠償せねばならないのであって、これがもし合法だと判定されたならば、この裁判は彼が負けることになる。

 

実際、谷直史さんの反論は「これは必要だから行った資金調達のための新株発行であり、手続きは全てきちんと行ったのだから、全くの合法である」とのものだった。ここに法律論と実際にあったこと、彼、谷直史さん、入倉孝大の3人の証人尋問までを踏まえて戦い抜いたのがこの裁判だった。

 

この裁判が始まった時点での彼側の認識は、訴状を読む事で把握できる。その後判明したことも多いので、この訴状の時点での彼側の認識をまず把握すると、①の希釈化が、直後の強制取得での時価総額が90億であるから、それを1株1万円というのは会社法210条「著しく不公正」にあたると主張した。

 

実際は彼と谷直史さん以外の株主には、「彼にだけはされなかった」色々な情報が共有され、「悪いようにはしない、あとで報いるから」という説明をされて、希釈化の株主総会に賛成していたことが判明するので、もっとどうしようもない「著しく不公正」だったわけだが。それは今後判明していく

 

また、DeNAからGREEに鞍替えした時点で、GREEとの戦略的業務提携の草案は既に見せてもらっていた(深夜に谷直史さんに見せてもらった契約書)わけだが、その業務提携も、幸いというべきか、この希釈化の前に既に行われていたのだった。

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これら提携のタイミングも、なにか1つ違えば裁判は大きく違う展開になってたと思う。ここでも谷直史さんは彼を舐めたのかもしれない。このグリーとの提携を、彼の株に手を付ける前にやったのは。これが後だったら、この提携で高騰したと間違いなく主張してきただろうから。

 

また、この裁判でおそらくもっとも強い証拠となったのが、彼が戦うと決めた直後のあの録音だろう。この訴状でも、「谷直史さんの新株発行は、彼を排除するための発行であり、資金目的ではない」という、いわゆる新株発行の主要目的ルールの主張もされている。この録音は、高裁の判決でも引用された

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なお、この訴状にもあるがこの希釈化の新株発行の時点で彼はそれなりに勉強して臨んだので、「新株発行の特に有利な場合にあたるので、その理由を説明してほしい」と株主総会の場で求めたが、谷直史さんの答えは「それが会社のために必要だからです」であった。何の説明にもなってない。

 

この、何倍にも希釈をぶちかましてから強制取得するという谷直史さんが行った手段は、手続きだけ見れば特別決議も取っているし、「株主総会の議題を知らせる義務はないから知らせず、対抗手段の差し止めをする暇を与えず、即新株発行をする」も確かに義務はないから合法ではある。

 

だからこの裁判は、「不法行為ではない」という反論を一つずつ潰していく総力戦になった。この彼の訴状でも、「不法行為」という言葉だけでなく「脱法行為」という言葉さえ出てくる。まさに、脱法的な少数株主からの剥奪だったのだ。録音がなかったら、立証は危うかったかもしれない。

 

ただ、これはこの裁判を通して株式の仕組みについて勉強した彼の、あくまで個人的な感想だが、「この脱法行為がもし合法と判例が出来てしまえば、日本の、すくなくともベンチャーとよばれる、株式を報酬とした起業は全て壊滅する。」特別決議が取られると、株式をまさに谷直史さんの言う「0にされる」のだから。

 

 面白いだろう?彼はもう今さら引く理由がない。最後まで戦う。なら判例が残る。勝てば良いし、もし負けたら、彼と谷直史さんは日本のベンチャーを壊滅させた者として名が残るのだ。戦っていて正直どちらにせよ面白いと思っていた。現時点高裁では勝てたので、そりゃ勝ったほうが良かったと思うが。