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ネトゲ戦記 第三部「収益金配分請求訴訟⑤」

書面を読み返していると当時はわからなかったことが今ならわかるようになっていて感慨深い。被告準備書面⑤で、水掛け論に近いお互いの主張の中に、時々本音というか事実が垣間見えるところがある。

 

この辺に至ると、谷直史さん側は「谷さんが描いたストーリー」に完全に寄せないといけないので、主張が飛び始める。例えばこれだ。彼が資料を大量に読み込んで創作したことについては「歴史や神話が元ネタだから、多少オリジナリティを出したとしても創作性はない。」

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神話が元ネタなら創作性(著作権)が発生しないとは、素晴らしい考えだ。だが、別にこの裁判は「著作権とは」を争ってるわけではないから、裁判官への目くらましか、こういう無茶苦茶な主張はあちらこちらで見受けられる

 

これは谷直史さんが出してきた書面からの引用だが、「イラストは所詮ゲームの添え物であり、プラスアルファにしか過ぎない」と言い、彼が半年先まで用意していた指示書を流用しただろうという指摘には「それらのイラストはキャラ名だけで依頼した」という反論がきた。

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彼は、「入倉孝大が仕上げられなかったレイドを取り上げて仕上げた結果入倉孝大が鬱っぽくなった」から、「お気に入りの入倉孝大くんが可愛そう」で「三国志バトルのときはちゃんと予算を取ってきてくれたのに、谷直史さんは彼と喧嘩するためにイラストをバカにしてきて大喧嘩になった」という認識だった。どうも違う

 

読み返すと、どうも谷直史さんは、裁判と関係ない(必要ない)ところで本音を主張している。谷直史さんはどうやら本気で、イラストはゲームの添え物でどうでもいいと思っている。あの時、あの喧嘩で言いあった言葉は本心だったようだ。まあそうか、怒鳴り合って喧嘩をする時には本心が出るものだといえばそりゃそうだ。

 

「キャラ名だけを渡して依頼した」というのも無茶苦茶だと彼は思う。神話や歴史の英雄は、その生い立ちから様々な英雄譚を経て完成する。そのイラストのカードに持たせたいアビリティはどんなものなのか。アーサー王一つとっても、カリバーン前、カリバーン後、エクスカリバー後、晩年とたくさんある

 

アーサー王物語だけに沿ってもそうで、なんなら女体化しても少年化してもいいし、少なくとも何かしら描いてほしいものがあってこそ依頼するはずだ。名前だけを投げてイラストを依頼するなんて信じられないが、確かに彼が辞めた後ヴァルハラゲートはイラストレーターの名前すら出さないようになっていた。

 

なお、彼側が持っていた「数少ない証拠」は一通り出し終わっていたので、ここからは新しい主張はない。どちらかというと「映画の著作物」や「職務著作」といった法律論の言い合いがメインで、その上で「文書提出命令」を引き続きアピールしていく事になった。

 

この裁判が、最もゲーム業界に密接な裁判だった。そして、地裁でだけとはいえ、唯一敗北した裁判だ。彼は、「ゲーム業界に少し知見があるならば」谷直史さんが言ってることは支離滅裂だと示したつもりだったが裁判官には理解されなかった。

 

この地裁での判決は「彼はグラニの社員であったとみなして、他の社員と同じ額の420万円の未払いの給与支払いを命じる。文書提出命令は却下する。著作権も却下する」というようなものだった。

 

だが彼はこの時点で「株価鑑定」の裁判で勝利し、8000万以上を得ていたので、数百万を上乗せして高裁で戦う事ができた。高裁で谷直史さんは、またしても自分から出さなくていいボロを出して、そして逆転の和解へとつながっていく。

 

ここで、この裁判と同時進行で進んでいて、先に判決も出た「株価鑑定」の裁判についてざっと触れたいと思う。谷直史さんが10倍に薄めた上で強制取得をして、「10万で良いなら買い取ってやるが」と言った株式の価格について決める裁判のようなものだ。裁判所で決めてもらう。

 

こちらも様々な法廷バトルがあったが、ゲーム業界のような面白い話はあまりないし、ここでは割愛しようと思う。結論からいうと、裁判所は当時のグラニの時価総額を「約90億円」で「希釈化」については別途損害賠償でも起こしたら?という決定を下した。だから希釈後の8/999株で、8000万というわけだ

 

たしかこの株価決定の中で、谷直史さん側から和解の提案があった。それは、裁判所選任の鑑定人による鑑定結果が「90億円」と示され、まあ十中八九それに沿った判決が出るだろうという、95%裁判が終わった状態で、谷直史さんから「これなら和解してやってもいい」といってきた条件だ。

 

それは、「他の裁判を全て自分から取り下げるなら、この鑑定結果どおりの8000万を支払ってやってもいい」という「和解提案」だった。彼はその提案内容が書かれたメールが届いた瞬間、怒りを通り越して爆笑してしまったのを覚えている。

 

彼がそんな提案に乗ることは、時計の材料を箱に入れて振ったら時計が組み上がるよりもありえない。だが提案してきた。彼が谷直史さんをいろいろと誤解していたように、谷直史さんも彼をいろいろと誤解して認知していたのかもしれない。そういう提案に従うような人間である、だとか。

 

彼は「バカめ」と言ってやれと言ったが、彼の弁護士は真面目にお断りの返事を出していた。つまらない。ともあれ、こうして「株価鑑定」で約8000万という資金をゲットした彼は、lalha氏と、親に借金を返済した。そのうえでlalha氏とは、ロマネ・コンティで祝杯をあげた。

 

株価鑑定で、希釈化による損害は別途争うよう裁判所からのお達しも頂いたので、本命の損害賠償請求事件に踏み込む。こちらは株価鑑定と違って面白いところもあるので語ろうと思う。谷直史さんが不法に株を希釈したことによる、彼の損害を賠償しろという訴訟だ。

 
この「損害賠償請求事件」は、数億の訴訟額になり、裁判費用だけでもおそらく双方億近くかかっている。手前のどれか一つで買って数千万の資金が入らなければ、戦えなかった戦いだ。だが、戦える。戦うと決めたのだから、途中で止める理由がない。こうして一連の裁判の最終総力戦が始まる