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ネトゲ戦記 第二部「グラニの立ち上げと引き抜き」

グラニという名前が出来たのはだいぶ後になるので立ち上げ時は名前すら決まっていなかったが、会社を作るということが決まった。といっても、彼は今まで通り三国志バトルの仮ディレクターとして仕事をしていた。

 

谷直史さんから「コアメンバーとして、入倉孝大と福永尚爾、そして相川雄太を誘いたいが同意してもらえるか」と打診が有った。彼は正直人選とかはどうでもよく、新会社で作るpurpleの構想にくらいしか興味がないので、生返事でいいですよと答えた。

 

谷直史さんは実際に会社が軌道に乗るまでは、彼がいかに生返事をしても逐一彼に同意を取りに来たし、彼は最後まで生返事をしていた。それが良くなかったのだろうなと思う。谷直史さんが求めていたのに応えるなら、時々渋ったり、もう少し条件を交渉したりするべきだったのだろう。

 

谷直史さんは、新会社の設立にあたって、2つ作戦を立てたのだと思う。1つは、どうやって自分たちが穏便に辞めるか。もう1つは、どうやって三国志バトル(red)チームを引き抜くか、だ。1つ目は説明されたが、2つ目は説明されなかった。ただ、今ならわかる。

 

彼は折を見て、redチームのメンバーと、谷直史さんの奢りで飯に連れて行かれた。谷直史さんからは、水原くんがきちんと俺についてくると発言さえしてくれれば、あとは俺の方で話をする。好きに飯を食っていい。それだけを言いについてきてくれと言われたので、食べたい店を彼が選んでいた。

 

谷直史さんが自分だけでは説得できるか自信がなかっただけなのか、実際に彼だけがチームに認められていたのかはわからない。ただ、実際にこのやり方で、redチームの声をかけたメンバーはほぼ新会社に来ることが決まった。調略は9割の成功率だった。

 

そして穏便な会社の辞め方だが、谷直史さんからはこういう提案があった。「水原くんはたしか査定で500万を狙うと言っていたな。あれは駄目だ、その査定はでないよ。断言する。だから、君はそれで腹を立てて辞めるんだ。俺と福ちゃん(福永尚爾)は、それに便乗して辞める。これがうまくいく」と。

 

彼は、本当に人間離れした仕事ぶりをして社内で有名になり、社長がケツを揉みに来るくらいだから、約束通り査定が出ると信じていた。だから少しショックを受けたが、わかりましたと了承し、晩飯の後の雑談タイムで小芝居を打つことになった。

 

その小芝居というのはこうだ。「俺はねえ、この会社に入社したときに約束したんですよ。最初は低い給料だけど、会社で一番の評価を出したら500万にしてもらえるって。実際に俺は一番の評価しかありえないでしょ。じゃあ500万になりますよ。ならなかったらやめてやりますよ」上手く演じたと思う

 

それに対して谷直史さんと福永尚爾が、まぁまぁという諌め方をして、上がるといいね僕たちも君を応援シテルヨーと小芝居が終わった。福永尚爾がやや棒読みだったと思う。そして、その評価査定面談の日がやってきた。谷直史さんよりも上の企画統括マネージャーと密室で面談だ。

 

彼は単刀直入に言った。「○○さん(面接で後から出てきたほう)とハッキリと約束したんです。社内一番の働きをしたらこの査定で500万にしてくれると。一番のはずです。してください。してくれれば残ってがんばりますが、してくれなければ辞めます」

 

統括マネージャーはものすごく渋い顔をしたり、谷直史さんの個人情報を含む悪口を言ったり、インセンティブでは実質2000万くらいになると言ったりしたが、彼は、違います、500万にしてください、してくれなければ辞めますと言った。

 

そうしたら統括マネージャーが少し待ってくれと消えて、今度は上の役員が出てきた。役員が言うには、この額までが会社の規定の上限額だ、ここまでしかあげられない。この次も同額の昇給で500万を超えさせることは約束する、と。彼は、500万と約束したんだから、500万でないと辞めますと再度言った。

 

そうすると、役員も渋い顔をして、それだけは出来ないと言った。なので、わかりましたじゃあ辞めますねと彼はいい、用意していた紙袋に荷物を全て詰めて持ち帰り、それっきりgloopsには出社しなかった。問題になるかと思ったが、問題にならなかった。谷直史さんは自分がなんとかしたと言っていた。

 

ちなみにredについては、彼は立ち上げが終わった後は余裕がありあまって暇なくらいで、かなり先までイベントやカードを組んでおいたので、無事に運用されていた。あとを引き継いだ彼の下に居た、メールのサポートだけしていた彼の部下は、red最大の功労者として出世したらしい。

 

ここまでが彼の見た事実だが、真相はどうだったのだろうか?谷直史さんが、彼は生意気を言うので断ってくださいと言っていた可能性もある。谷直史さんは彼が辞めるとRedチームも踏ん切りがつくだろうと言っていたので、そうなったのかもしれない。彼に分かる範囲はこれだけだ。

 

だから谷直史さんは、あるいは絶対に断ってくださいと言っていたのかもしれないが、わからない。彼は相当に社内で目立っていたし、500万じゃないとやめると公言していたので、これを認めるのは会社として相当面倒くさそうだ。こうして彼は一番に会社をやめた。だからgloopsでその後あったことは知らない

 

それから彼は一人でpurpleの構想を練り始めた。redと違ってpurpleは最強のファンタジーにしようということで、いろんな神話や英雄譚、歴史の資料を最終的に20万円分くらい買った。それを毎日読み込みながら、思いついたアイデアをメモったり、カードマスタを1から設計し直したりしていた。

 

余談ではあるが、彼らが順次どんどん会社をやめていった結果、gloopsは激怒してたし、最終的に訴訟を提起してきたと思う。ただ、彼らがgloopsを辞めた直後に、当時のgloops社長がネクソンに360億で会社を売ってしまったので、そのゴタゴタで訴訟はだいぶ後のことになるのだが。

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そのgloopsは、最終的にゲームを別の会社に売却したり、会社自体も1円で売却されることになる。まさに兵どもが夢の跡である。

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