空白雑記

暇つぶし

ネトゲ戦記 第一部「Guild War」

Guild WarがどのようにAsukaで立ち上がったのかは覚えてないが、Duelが盛んになってDuel Pit(開けた沼地がDuelしやすいからDuelしてたら、GMがPitを作った)が出来た頃だったろうか。対人戦の極みとはGuild Warである、みたいな論調が現れた。

 

もう昔過ぎて本当に思い出せないんだが、当時、Guild Warこそ最高の遊びで、Duelなんてスポーツではなく、最強を決める本物の闘争なのである、みたいな意識があったことだけは覚えている。当時、UOがあまりにも新鮮であったから、UOは特別であり、UOだからできる遊びこそ至高であるという風潮だった

 

ではその、真に自由で公平でメンツをかけたGuild Warとはどんなものだったのか。だいたい22時~1時くらいに、どこかの街やダンジョンに集合して布陣し、ぼーっと相手が来てくれるのをまつ。相手が来てくれたら戦闘。と同時に斥候を各地(町とダンジョン)に飛ばして待つ。見つけたら攻めて戦闘。

 

 

ゲームシステムの限界ともいえる。当時のGuild Warには、ルールもなければゴールもなく、ただお互いにペナルティなしに攻撃できるという”許可”しか無かったのだ。しかし彼らは歴史の韻を踏んだ。UO当時のネトゲ廃人達は、シャイな鎌倉武士だったのだ。

 

常識的に考えて、22時から23時に決めて戦うことにしようとか、お互いに探し合うのではなくて場所を決めようとか、交互に指定しようとか、何戦やって勝敗を決めようとか、ルールはいくらでも考えつく。だが彼らはそうしなかった。何故か。”スポーツっぽくてダサい”からだ。

 

Guild Warが来週から始まることだけが決まり、各Guildで人を募って居た頃、彼もZPからLoHに移籍したわけだが、その準備にデシートLLで狩りをしていたら、傭兵ギルドにスカウトされた。お前、俺の傭兵ギルドにきて一緒に傭兵しようぜ、と。

 

その場でお前こそ俺の部下になれと彼は持ちかけたので、話し合いの結果、そこでタイマンをして、負けたほうが勝った方に、多分3ヶ月だったか、従うというルールが決まった。彼は勝ったので、そいつは本当に3ヶ月彼の部下になった。

 

UOを遊んでいた廃人達は、UOのあまりの面白さに、このように鎌倉武士ゲーマーとなっていたのだ。彼らGuild War参加者上位はほぼ全員、舐めたことを言われたらとりあえず人数が倍だろうが襲いかかる蛮族だった。蛮族がスポーツみたいなルールをきめて戦うなんてダサくて恥ずかしかったのだ。

 

Guild Warはだから、だらだらとしたものであり、そのおかげともいえるが、戦力差が固定されないものだった。ひょっとしたらそういう作戦だったのかもしれないが、1時になってから人数が増えるギルドとかもあり、彼の参加したLoHは最強だったが、人数的に不利な戦いもよくあった。

 

彼はGuild Warの集団対人戦の経験を、水を吸うスポンジのように吸収した。本当に楽しかった。わかったことは、同じ7GMの完成したビルドのキャラであっても、操作する人間によって、通常が100とすると70~200くらいの個体差が生じる。彼とmatatanは200だった。

 

100が10人と200が2人(1400)と、100が15人(1500)が戦ったら、後者が勝つのか。違う、それは作戦次第だ。強さが200の個体が集団戦に紛れ込むと、それが一番恐ろしい。200の個体は、100の2人に狙われても生き延び、弱った70の個体を一瞬で葬り去ってしまうのだ。

 

彼とmatatanはまさに戦場を翔けるエース・パイロットだった。あきらかに戦局を左右している。だから彼は、敵に同じような個体がいたら、そいつを真っ先に集中攻撃するように指示しようと思っていた。引退するまでそういう個体は見かけなかった。

 

また、逆に敵が彼やmatatanだけを集中攻撃してきたら、守勢に回って引き込もうとか、そういうことも打ち合わせしていた。それもなかった。敵はそれぞればらばらに適当に戦っているだけで、戦場は彼とmatatanの狩場だった。

 

matatanは戦うだけのエースパイロットだったが、彼は自分から名乗り出て、指揮もしていた。もっと楽しみたかった。仲間の70~100をいかに高めるかを試行錯誤した結果、指示をするだけでいいことに気づいた。

 

全員が乱雑に戦っていると、人数と運で勝敗が決まるが、戦いながら倒すべき敵、弱った敵とか突出した敵を彼が狙うよう指示すると、それだけで簡単に70が100になったし、100が120になった。本当に面白いようにそれだけでよかった。

 

彼はLoHのIRCチャットで、@@@をキーワード登録し、UOのWindowのよこにIRCのウィンドウを並べて両方が見えるようにして、@@@と彼が発言したら、その次に発言される命令に従うようにルールを作った。彼自身戦いながらなので、@@@ 右赤マント殺せ とか、@@@ 右に集合 とか単語レベルの命令だ

 

だが効果は絶大だった。敵がバラバラの烏合の衆であるなら、彼が指揮した集団は粘菌のような意志を持った塊だ。勝負になるわけがない。勝率ははっきりと覚えてないが、美化されてる分を引いても7割は硬かった。対戦ゲームで勝率が7割である。いかにクソゲーかわかるだろうか?プロゲーマーでも6割だ

 

最初はもっと長文で指揮をしていたのだが、うまくいかなかった。それはやっていて手応えでわかる。最終的にこう落ち着いた。ここに至るまでの試行錯誤は、至福ともいえる楽しさだった。彼は夢中で遊んだ。夢中すぎて手加減することを忘れた。

 

ある時、彼は戦場で死んだので、ためしにゴーストのまま戦場に隠れていた。そうすると、敗残した敵ギルドが残って回収作業をしている。ヒーラー前に開かれたゲートに潜り込んでついていくと、敵のギルドハウスがあった。敵ギルドの部隊がフィールドにたむろし地面に資源が乱雑に置かれていた

 

彼はすぐさま座標を調べて、そこへの行き方を調べろと指示しながら、GMコールの機能で町に戻った。座標からそれがどの島かわかるやつと、そこのルーンを持ってるやつが見つかり、3分後には襲撃をかけていた。油断をついたので一方的すぎる戦いになった。

 

敵がギルドハウスの中にこもって出てこないので、外で敵の死体をバラしてならべたり、みんなでくるくるまわって踊ったり、暇になってきたら仲間同士で決闘するほどの舐めプを見せつけた。そうしたら、今まで折れなかった敵ギルドが、翌日休戦願い(実質降伏)をしてきた。

 

なるほど、こういうゲームは、倒しても倒しても敵が生き返ってくるが、心を折ればいいのだなと彼は学んだ。それから、他の敵ギルドも片っ端から思いついた遊びを試していった。LoHは最強ギルドとなったが、敵がいなくなってしまった。それが、彼が攻略本に書いた、このギルドハウス襲撃事件である。

 

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