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ネトゲ戦記 第三部「消えたチャットログ」

弁護士と正式に代理人契約を結び、逆襲の計画を練る。まず最初に着手したのは、チャットログの「証拠保全」だった。証拠保全とは、医療訴訟などでよく行われる手続きで、「こういう証拠があるはずで、証拠隠滅されないよう確保してくれ」というものである

 

はじまりの日に、彼が仕事で使っていたアカウントのうち、会社が管理できるものはすべて使用不能になっており、そのなかのChatWork(Slackのようなもの)のログを確保しておくのが、今後戦うために必要だろうと思ったからだ。

 

Chatwork上では、彼はヴァルハラゲートのディレクターとして指示を出していた。谷さんが指示をかぶせてきた場合は、社長を尊重して折れるというルールはあったが、それ以外は基本的に彼が指示をしていたし、それはログを見ればわかるからだ。

 

彼はあまりにもバカで、契約書もなく口約束でグラニに参加していた。もう少し谷さん達が巧妙であれば、あるいは本当に一円の報酬も得られずに追い出されていた可能性さえある。弁護士は、バカだなあとは言葉にせず、しかし、証拠保全をまずやりましょうと提案したのだ。

 

証拠保全の申立書を出した頃、グラニから臨時株主総会のお知らせが届いた。今度は議題が添付されており、新規取締役の選任(相川と河合さん)、取締役への新株予約権の発行、A種株式発行(いわゆるスクイーズアウト)だった。

 

定款や新株予約権の条件を見たが、彼と揉めたことで学んだのか、新株予約権といっても、基本的に会社(=株式の殆どを持つ谷さん)がNoと言えば即座にすべて無効化できるような条項にしかなっていないと思ったが、相川はともかくとして、河合さんはあれでよく同意したなと思う。

 

予想通りではあったが、グラニのとった手段とは、新株発行で100株→999株(資本金999万円に抑えたかったのだろう)の希釈化と、スクイーズアウトを連続して行い、希釈化した価格で強制取得するというコンボだ。手続きは取られており、判例もなく、不正目的が認められなければ難しかったかもしれない。

 

そんな折、グラニのインタビューがアップされた。彼の存在はなかったことにされ、「俺は考えるのも作業も遅いから、会社を起こしたいけど起こせなかった。だから君のために会社を作らせてくれ」とまで言ったグラニは、彼が作ったヴァルハラゲートは、谷さんが考えて作ったことになっていた。

gamebiz.jp

株主総会はシャンシャンと執り行われ、スクイーズアウトによって彼の株式は強制取得されることになった。その場で、グラニ側の弁護士から、「1株10万円でならこの場で買ってやってもいいがどうか?」と言われた。あれは本気だったのだろうか?バカにしたかったのだろうか?谷さんの意向だろうか?

 

普通に考えると10万円で売るわけがないので、挑発か何かだと思うのだが、その後の裁判でも、この手の「ありえなさ過ぎる、腹をくくって戦おうとする相手に言ってはならないだろうそれは」という舐めた提案が何度もグラニ側から出てきたので、ひょっとしたら本気だったのかもしれない。

 

株式の強制取得については、反対した場合は、裁判所に価格を決めてもらう手段がとれる。希釈化も含めて「株式の価格決定」で争うことにして申立を行った。そして、それとは別に、「彼は共同制作者であり、著作権を有する」という、著作権裁判を、証拠保全とあわせて提起した。職務著作が争点だ

 

彼は一円も報酬を受け取らず、会社に所属せず、制作に参加した。この場合、著作権の相当分を彼が持つはずだ、という訴訟だ。証拠保全で彼は仕様書・マスタフォルダの中身などを求めたが、IT最先端ともいえるゲームのマスタや仕様書の保全というのは、かなり難しかったようだ

 

それでも保全できたものとして、これがマスタフォルダの画像だ。Jetsは彼の自宅用PCアカウントである。生々しい。企画は入倉と彼の2人だった、というのは明らかだ。裁判においてグラニ側は、「彼は中身を作らないのにファイルだけ勝手に作ったので作成者が彼になっているだけだ」と主張した。笑う

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証拠保全の際の資料などを後に閲覧しにいったとき、彼は証拠保全の時の谷さんのサインを目にした。それは、今まで誰も見たことがないくらい震えた字だった。谷さんは彼が訴え出るなんて、会社にいきなり裁判所から人がくるなんて、全く予想していなかったのだろう。まさに望月の霹靂だったのだ。

 

谷さんが単純に字が震えるタイプである、という仮説は、その後他の手続きで書かれたサインが普通の字だったことから否定される。谷さんは、まともに字が書けないくらい、証拠保全のときに手が震えたのだ。そのサインが証拠だ。生々しいサインだった。

 

証拠保全のときに、一番重要だとして求めたチャットワークのログ等は、「すべて喪失した」として提出を拒否された。ここを取られるとヤバいと思ったのだろう。ちなみに、長い裁判の途中で、「やっぱりありました」とグラニ側に都合よく使うために出てくる。笑う。

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なぜかこの、消えたはずのチャットワークのログはあとから出てくるが、このときは見つからなかったなんて、チャットワークのUIのせいだろうか。絶対にこんなことありえない、チャットワークはアカウントではなくて部屋でログが残る。開発が参加してた部屋が消えるわけがない。