空白雑記

暇つぶし

ネトゲ戦記 第一部「はじめてのMMO」

ついに、LOGINで見かけて以来、理想の新時代ゲームとしか思えなかった、あのUOの日本鯖が出来た。日本橋のTZONEで残り数本だったパッケージを買い、今までで一番ワクワクしながら家に帰ったのを覚えている。

 

家についてインストールし、起動して打ち震える。キャラクターネームを決めなくてはいけないことに気づいたが、名前に執着心はない。困って周りを見ると、WHITEALBUMのパッケージが目に入った。よし、キャラクターネームはtouyaにしよう。

 

この時彼は未成年だが、この頃の18禁ゲームというのは、18歳になったら卒業するサブカル趣味だったので問題ない。まあランスはいつまでも最高のゲームだし、もしランスを超えるゲームが遊べるなら悪魔に魂を売ってもいいが。

 

ブリテインに降り立ち、LOGINで学んだ知識でトレーニングダミーを殴るとスキルが上がった。この、ネットワーク上に生まれたキャラクターが成長し、ゆくゆくは他プレイヤーにその力を行使できることに彼は打ち震えた。最高に楽しく人形を限界まで殴り続けた

 

ログインしたときに持っていた初期装備がダガーだったので、最初彼はフェンサーになった。といっても、動物を狩って、皮を売り、また動物を狩るというスローライフだったが。そんなプレイをしていたらギルドに誘われて、PAFに入った。

 

PAFとは、asukaでもっとも人数が多い仲良しギルドであり、少なくとも彼がプレイしてる間はずっと、もっとも弱くもっとも人数の多いギルドとして知られていた、初心者でも必ず受け入れ、初心者でなくなると抜けるというギルドだった。

 

後にはPAF村とかいう家の集まりまで形成していたし、PAFデパート城まで建ててたから、一応それなりに頑張ってるギルドだったが、彼が最初に入ったギルドがPAFだと言っても誰も信じてくれないくらいには、後の彼からはもっとも縁遠いギルドだった

 

そんなのんびりスローライフをしつつ、少しずつ強くなってリングメイル一式を着るくらいになった彼は、その全財産ともいえる装備を身に、オーク砦へ狩にむかった。集団を相手にしないよう1匹ずつ誘き出し、包帯を巻きながら着実に仕留めていく。ただマウスをクリックするだけがこんなに楽しいとは。

 

そこにPKが現れ、彼にEBをぶちかました。当然彼は即死した。全財産を失った。悲しくて悔しくて震え、泣きそうになった。彼はPKKになろうと誓った。PKなどという鬼畜をのさばらしていていいはずがない。PKKについて調べるとAWCというのがあるらしいので、IRCチャットにお邪魔した

 

自分がいかに酷いやつにやられ、復讐心に燃え、PKKになりたいのかを彼は熱心に語った。フェンシングスキルが60くらいで、リコールの4thも唱えられない彼の言葉に耳を傾ける者はいないかに見えたが、1人だけ、その覚悟があるなら教えてあげようと言ってくれた人がいた

 

LESTATというその人につき、彼はUOの対人戦の手ほどきを受けた。スクロールの使い方や狩場の選び方、allnameの使い方など。対人に必要だからといって、結局はUOの遊び方を教えてくれた。彼はメキメキと強くなり、ゲームの仕様を把握していった。

 

彼は、得た情報の中で最高の狩場はデシートのLL部屋で段差ハメでLLを狩ることだと見出した。この頃LL部屋では、段差の上にEVを出すハメ狩が流行っていて、行列を形成し、順番にLLにEVを打っていた。日本人はゲームの中でも礼儀正しいものだ。

 

EVでサクサクとLLを狩る行列に混じって、彼はBSをスクロールで唱え、他の人の3倍時間をかけてLLを倒した。ディスペルも当然使えないので、残ったBSは自分でタゲを取って遠くに捨てにいった。オーク砦の10倍以上の稼ぎで、さらに彼はメキメキ成長した。魔法スキルはEBを100%成功できる数値になった

 

彼はPKKに参加することを願い出て、AWCチャットに常駐し、各ダンジョンのルーンを作らせてもらった。自分は正義のPKKだ、PK死すべし。慈悲はない。安定して馬を買う金もなく、徒歩でよく置いて行かれたが、彼は何度かPKにEBをぶち込んだ。

 

彼は気づいた。真面目にPKKをしてるのは、LESTATさんと、Masa.Fさんと、自分くらいだ。チャットに常駐して、偉そうに対人戦の講釈を垂れる奴らは、PKが5人デシートに現れたというアラートの時は静かだ。そして彼ら3人だけが現地に向かう

 

彼はまだ1人もPKを仕留めたことがなかったし、大抵はやられて床をなめていたが、PKへの恨みよりもPKKを名乗る雑魚への疑問が大きくなりつつあった。それでもまあ、PKKをひたむきに頑張っていたら、ある日PAFのギルドマスターから話があると呼び出された。

 

PAFのギルドメンバーがPKにやられたとき、恨むなら彼を恨むんだな、彼がいるからPAFは狙うと言われたのだと言う。そんなバカな。赤ネームのPKが敵を選べるわけがない、それは彼への嫌がらせでしかないと釈明したが、糾弾会にしかならないので彼はPAFを脱退した

 

PKに狩られる農民のために頑張ろうと思っていたら、その農民から糾弾会を開かれ、PKKを騙る雑魚は鬱陶しい。何のために戦うのか分からなくなった彼は、AWCのチャンネルも抜け、デシートで適当にlichを狩っていた。そこに、PKギルド側で強くて有名だったZPのギルドリーダーPitさんが現れた

 

PAFを抜けた彼を見て、どうかしたのかと聞いてきた。PKに狙われるから迷惑だと言われたんでアホらしくて抜けたんですよと説明すると、そうか、ならうちのギルドに来ないかと誘われた。え?と聞き返すと、ガッツがあるから目をつけていた、PKは PKKより楽しいぞという。

 

まだ下っ端PKすら仕留めたことのない彼にとって、遠い目標で畏怖していた相手からこう誘われたので、彼はPKになることにした。そのあとLESTATさんには経緯を説明してすまなく思うと伝えたら、しょうがないね、君がそう決めたならと言われた。こうして、PK touyaが生まれた。