空白雑記

暇つぶし

ネトゲ戦記 第三部「収益金配分請求訴訟③」

彼の正式な攻勢である準備書面に対し、被告から正式な反論である準備書面③が出てきた。何度も繰り返すが、裁判とは”裁判官に信じてもらうゲーム”であって、”真実を証明するゲーム”ではない。それはこの裁判を通して強く学んだことである。

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たとえば、これは彼が企画書を共有し、谷直史さんが「さすがやで!」とコメントしたから、谷直史さんの言う”彼が作った企画書は出来が悪かったので採用されてない”は嘘だ、という話に対する反論である。”言ったかもしれないが、それはこういう理由だった”。裁判において内心というものは、都合のよいものだ。

 

これは、「そのような言葉をかけたことはない」と言うと、もし彼が証拠としてログを保持していたら、「異議あり!」となってしまう。だから、「そのようなことを言ったかもしれないが、記憶にないし、仮に言ったとしてもこのような意味である」となる。裁判でこんな言い回しをする時点で真実はわかる

 

だから彼と彼の弁護士は、持っている証拠を全部出さずに小出しにして、自分たちの持つ数少ない証拠で突ける矛盾を狙った。致命傷な証拠があればそれを突きつければよいが、手持ちの証拠が少ないからこのような戦い方になった。

 

そして、前準備書面で、彼が「仕様書のクセ」を含めて彼が仕様書の殆どを作成したことを説明し、仕様書を1つ1つ解説したことに対し、谷直史さんからの反論はこうだった。「ゲーム開発では事前に仕様書を作成しない」

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ゲーム業界で働いている人が聞いたら噴飯ものであろう。仕様書もなくどうやってゲームを作るのか。いや、たしかに仕様書なしに口頭で進められる現場もあるが。だが、これこそが裁判だ。こういった、わかる人にはわかる嘘を、”裁判官にわかるように”全て崩していかないといけないのだ。

 

また、マスタデータに関する反論も、彼が作ったかどうかに関係ないところに論陣を張ってきた。「マスタデータが重要かどうかはエンジニアのさじ加減一つなので、マスタデータが重要とはただちに言えない」これも噴飯ものであろう。企画の仕事の集大成こそがマスタデータであるからだ。

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”ゲームの面白さを決める最も重要なものは「作り上げる過程に曖昧な概念として誕生した何か」であり、マスタデータの上位存在である” すごい。仮にそれがあったとしても、それを使えるようデータ化したものがマスタデータだと思うが、より上位の存在を定義することでマスタの重要性を貶める作戦か

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谷直史さんの作戦はこうだ。「彼が作ったマスタや仕様書データは、実際に彼がほとんどを作ったとしても、谷直史さんがふんわりと生み出したイメージ概念こそがゲームにおいて最も重要なものであり、それをもとに指示して作らせただけだから、彼は谷直史さんのイメージに従って手を動かしただけで著作物ではない」

 

カードマスタ(アビリティの強さやパラメータ、フレーバーテキスト等カードに関する全て)についての反論も「谷直史さんはカード枠のデザインとコンセプト(実例は示さない)を決めた。これは超重要であるから、谷直史さんこそが創作者である」だった。

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入倉孝大がやりたがったので、多分無理だと思ったが2ヶ月を与えてやらせていたが完成せず、そして彼と谷直史さんの仲違いの原因の一つとなったレイドバトル改修事件も「彼が駄々をこねて無理にブラッシュアップしたが3割しか寄与してない」になっていた。

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これもゲーム業界にいれば言うまでもないことだが、「担当の企画が変わって違う人が作る」なんてのは、「そいつでは作りきれなくて、もっと力量が上の人が代わった」以外にありえない。どうして他人の担当箇所をわざわざとりあげてブラッシュアップするのか。ましてや、レイドバトルはヴァルハラゲートの超目玉コンテンツである。

 

”ほぼ完成していた”が”3割も手直しするところがあった”あたりで既に自己矛盾を起こしてる気がするが、これを裁判官にわかるように説明するのは本当にしんどい。裁判官はゲームを作ったことがないどころか、ゲームをやったことがあるかもわからない。

 

ちなみに実際は3割どころか、入倉孝大が2ヶ月かけて作りきれなかった分は全部捨てて、1から1週間で、毎日日付が変わるまで会社に残って作ったのであるから、彼が作ったのは10割である。

 

このときばかりは、彼はこれがいかに噴飯もので荒唐無稽でありえない主張の数々であるかを彼の弁護士に熱弁したのだが、弁護士が作ってきた原告準備書面③は、彼の熱意からすればとてもあっさりしたものだった。ただ、任せると決めたことではあるので、彼はそれに了承した。

 

だがそっと、しかし致命打になるかもしれない一撃はしのばせた。グラニではグラニドメインやメールアドレス取得時からチャットワークに移行したが、それ以前は個人メアドでYammerを使っていたのだ。そして、Yammerは、発言が全てメールで送られる。彼の手元にはログがあった

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これは当然谷直史さんも知っていたことではあるのだが、あるいは気づいていなかったのかもしれない。Yammerのログを突きつけられるという前提であれば、してはいけない主張があるように思うからだ。ただこれは、谷直史さん側の事なので、どういう認知と作戦だったのかは彼にはわからないが

 

彼は思うのだが、谷直史さん側に彼がいたらこの裁判で彼は負けていた。スタート時点での立場の差は圧倒的過ぎる。そういう意味では、ゲームでは敵側にも彼がいないことをずっと嘆いてきたが、ここではじめてそれに感謝した。

 

一応、彼がどうしてもこれはおかしいと主張したことも入れられているが、今読み直せばわかるのだが、ここは裁判ではあまり重要ではない。お互いの主張は水掛け論に過ぎず、裁判における攻守にならないからだ。だからこれを書面に入れたのは、彼を慰めるためだろう。

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この時の彼側の作戦は、”この裁判での致命打となるチャットワークのログを文書提出命令で出させること”だった。それに関する話を振って、そこで水掛け論になったら、”じゃあ文書提出命令で出してもらってハッキリさせましょう、存在しないって嘘ついたけど有ったんですよね?"という流れだ

 

これも、一度存在しないと嘘をついたのだから、その嘘を守って、チャットワークのログが一切出てこないほうが彼側は苦しかったと思う。彼ならそうした。スケベ心を出して、自分に都合のいい部分だけ、もう消失したと言ったログから出してきたから、じゃあ有るなら出せよという作戦が使えたのだ。

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ネトゲ戦記 第一部「Guild War」

Guild WarがどのようにAsukaで立ち上がったのかは覚えてないが、Duelが盛んになってDuel Pit(開けた沼地がDuelしやすいからDuelしてたら、GMがPitを作った)が出来た頃だったろうか。対人戦の極みとはGuild Warである、みたいな論調が現れた。

 

もう昔過ぎて本当に思い出せないんだが、当時、Guild Warこそ最高の遊びで、Duelなんてスポーツではなく、最強を決める本物の闘争なのである、みたいな意識があったことだけは覚えている。当時、UOがあまりにも新鮮であったから、UOは特別であり、UOだからできる遊びこそ至高であるという風潮だった

 

ではその、真に自由で公平でメンツをかけたGuild Warとはどんなものだったのか。だいたい22時~1時くらいに、どこかの街やダンジョンに集合して布陣し、ぼーっと相手が来てくれるのをまつ。相手が来てくれたら戦闘。と同時に斥候を各地(町とダンジョン)に飛ばして待つ。見つけたら攻めて戦闘。

 

 

ゲームシステムの限界ともいえる。当時のGuild Warには、ルールもなければゴールもなく、ただお互いにペナルティなしに攻撃できるという”許可”しか無かったのだ。しかし彼らは歴史の韻を踏んだ。UO当時のネトゲ廃人達は、シャイな鎌倉武士だったのだ。

 

常識的に考えて、22時から23時に決めて戦うことにしようとか、お互いに探し合うのではなくて場所を決めようとか、交互に指定しようとか、何戦やって勝敗を決めようとか、ルールはいくらでも考えつく。だが彼らはそうしなかった。何故か。”スポーツっぽくてダサい”からだ。

 

Guild Warが来週から始まることだけが決まり、各Guildで人を募って居た頃、彼もZPからLoHに移籍したわけだが、その準備にデシートLLで狩りをしていたら、傭兵ギルドにスカウトされた。お前、俺の傭兵ギルドにきて一緒に傭兵しようぜ、と。

 

その場でお前こそ俺の部下になれと彼は持ちかけたので、話し合いの結果、そこでタイマンをして、負けたほうが勝った方に、多分3ヶ月だったか、従うというルールが決まった。彼は勝ったので、そいつは本当に3ヶ月彼の部下になった。

 

UOを遊んでいた廃人達は、UOのあまりの面白さに、このように鎌倉武士ゲーマーとなっていたのだ。彼らGuild War参加者上位はほぼ全員、舐めたことを言われたらとりあえず人数が倍だろうが襲いかかる蛮族だった。蛮族がスポーツみたいなルールをきめて戦うなんてダサくて恥ずかしかったのだ。

 

Guild Warはだから、だらだらとしたものであり、そのおかげともいえるが、戦力差が固定されないものだった。ひょっとしたらそういう作戦だったのかもしれないが、1時になってから人数が増えるギルドとかもあり、彼の参加したLoHは最強だったが、人数的に不利な戦いもよくあった。

 

彼はGuild Warの集団対人戦の経験を、水を吸うスポンジのように吸収した。本当に楽しかった。わかったことは、同じ7GMの完成したビルドのキャラであっても、操作する人間によって、通常が100とすると70~200くらいの個体差が生じる。彼とmatatanは200だった。

 

100が10人と200が2人(1400)と、100が15人(1500)が戦ったら、後者が勝つのか。違う、それは作戦次第だ。強さが200の個体が集団戦に紛れ込むと、それが一番恐ろしい。200の個体は、100の2人に狙われても生き延び、弱った70の個体を一瞬で葬り去ってしまうのだ。

 

彼とmatatanはまさに戦場を翔けるエース・パイロットだった。あきらかに戦局を左右している。だから彼は、敵に同じような個体がいたら、そいつを真っ先に集中攻撃するように指示しようと思っていた。引退するまでそういう個体は見かけなかった。

 

また、逆に敵が彼やmatatanだけを集中攻撃してきたら、守勢に回って引き込もうとか、そういうことも打ち合わせしていた。それもなかった。敵はそれぞればらばらに適当に戦っているだけで、戦場は彼とmatatanの狩場だった。

 

matatanは戦うだけのエースパイロットだったが、彼は自分から名乗り出て、指揮もしていた。もっと楽しみたかった。仲間の70~100をいかに高めるかを試行錯誤した結果、指示をするだけでいいことに気づいた。

 

全員が乱雑に戦っていると、人数と運で勝敗が決まるが、戦いながら倒すべき敵、弱った敵とか突出した敵を彼が狙うよう指示すると、それだけで簡単に70が100になったし、100が120になった。本当に面白いようにそれだけでよかった。

 

彼はLoHのIRCチャットで、@@@をキーワード登録し、UOのWindowのよこにIRCのウィンドウを並べて両方が見えるようにして、@@@と彼が発言したら、その次に発言される命令に従うようにルールを作った。彼自身戦いながらなので、@@@ 右赤マント殺せ とか、@@@ 右に集合 とか単語レベルの命令だ

 

だが効果は絶大だった。敵がバラバラの烏合の衆であるなら、彼が指揮した集団は粘菌のような意志を持った塊だ。勝負になるわけがない。勝率ははっきりと覚えてないが、美化されてる分を引いても7割は硬かった。対戦ゲームで勝率が7割である。いかにクソゲーかわかるだろうか?プロゲーマーでも6割だ

 

最初はもっと長文で指揮をしていたのだが、うまくいかなかった。それはやっていて手応えでわかる。最終的にこう落ち着いた。ここに至るまでの試行錯誤は、至福ともいえる楽しさだった。彼は夢中で遊んだ。夢中すぎて手加減することを忘れた。

 

ある時、彼は戦場で死んだので、ためしにゴーストのまま戦場に隠れていた。そうすると、敗残した敵ギルドが残って回収作業をしている。ヒーラー前に開かれたゲートに潜り込んでついていくと、敵のギルドハウスがあった。敵ギルドの部隊がフィールドにたむろし地面に資源が乱雑に置かれていた

 

彼はすぐさま座標を調べて、そこへの行き方を調べろと指示しながら、GMコールの機能で町に戻った。座標からそれがどの島かわかるやつと、そこのルーンを持ってるやつが見つかり、3分後には襲撃をかけていた。油断をついたので一方的すぎる戦いになった。

 

敵がギルドハウスの中にこもって出てこないので、外で敵の死体をバラしてならべたり、みんなでくるくるまわって踊ったり、暇になってきたら仲間同士で決闘するほどの舐めプを見せつけた。そうしたら、今まで折れなかった敵ギルドが、翌日休戦願い(実質降伏)をしてきた。

 

なるほど、こういうゲームは、倒しても倒しても敵が生き返ってくるが、心を折ればいいのだなと彼は学んだ。それから、他の敵ギルドも片っ端から思いついた遊びを試していった。LoHは最強ギルドとなったが、敵がいなくなってしまった。それが、彼が攻略本に書いた、このギルドハウス襲撃事件である。

 

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ネトゲ戦記 第三部「収益金配分請求訴訟②」

被告の第一準備書面が出てからが、原告の攻撃ターンだ。今回の場合、証拠保全等で致命傷の証拠は抑えられなかったので、立証を積み重ねて行く必要がある。彼と弁護士が取った作戦は、「証拠の小出し」で相手の矛盾を誘う作戦だ。

 

うっすらとしか思い出せないが、この原告第一準備書面を組み立てるのが一番キツかったように思う。慣れないということもあるが、彼は、谷直史さんがここまで現実を捻じ曲げて、嘘をぶちこんで来るとまでは思っていなかったのだろう。まさに腸が煮えくり返る、という思いを経験した。

 

彼は、裁判について詳しいわけではないから、法律や裁判の戦略については弁護士に任せることにした。何がおかしいのか、なぜ矛盾するのかを全て箇条書きにして書き出して、ゲーム業界を知らない人を想定して説明した文書を渡し、どれを採用するかは弁護士に全て一任した。

 

その上で弁護士が仕上げてきた文書をあらためて彼も読み、おかしいところやわかりにくいところを直して裁判所に提出する。だいたい毎回こういう流れだった。だから彼が裁判においてした判断は、基本的に「代理人である弁護士」には出来ない判断だけで、法律的な判断は全て弁護士に任せた。

 

こういうやり方は珍しいのか、最初のうち何回かは弁護士から彼に「ここはこういう判断でいいか」という質問がきたが、彼は毎回「法律的な判断は任せる」と答えていたら聞かれなくなった。結果勝てたのだから、この任せ方で良かったのだと思う。

 

第一準備書面で採用された指摘は次のようなものだった。①入倉孝大がマスタの大半を作成したというが、入倉孝大は最後までgloopsに残り勤務しており、グラニに合流したのは最も終盤であり、ヴァルハラゲートが一旦mobage用に完成する1ヶ月前であった。その入倉孝大が大半を作成できるというのはおかしい。

 

②職務著作だというが、雇用契約や雇用契約に準じるものも存在せず、独立して参加していた。これは弁護士に聞いてみないとわからないところではあるし、ネトゲ戦記は基本彼の視点で語るものであるから確認はしないが、多分ここは相手に立証を迫るポイントだったのだと思う

 

③被告準備書面でチャットワークのログの、谷直史さんに都合のよい部分だけを切り貼りして証拠として提出されたので、証拠保全のときに全部消失したとして保全提出を拒んだのは虚偽ではないか、改めて提出せよ と迫った。この文書提出命令は最終的に、高裁までもつれこんだ上で、命令が下される

 

他には、被告準備書面で都合よく捻じ曲げられた部分を正した上での、詳細なグラニ設立までの彼がgloopsを辞めてからの経緯が、”裁判官にもわかるように”説明されている。彼はもっと多くの矛盾や主張したいことを書き出したが、この時点で弁護士が採用したのはこれだけだった。

 

まあ実際に戦い抜いたからわかることだが、基本的に裁判という”裁判官に信じてもらうゲーム”は、例えば詐欺師が口八丁で裁判官を騙そうとする可能性もあるわけで、基本的には”矛盾を誘って矛盾を崩し、信頼を損なわせる”ゲームなんだろうなと思う。

 

さらに、裁判官も一つの事件だけに関わっているわけではなく、大量の事件を並列してさばいてるわけで、”一度に理解してもらえる量”というのは、はっきりとはわからないがあるように思うし、裁判官も見落としやミスをする。実際にミスがあって、指摘した結果、悪い方向に直されたこともある。

 

そもそも、彼の弁護士もゲーム業界の当時最先端であるソーシャルゲームの開発に関する案件を受けたのはおそらく初めてで、マスタや仕様書、企画書の立ち位置や意味合いも知らなかった。当時のメールを見ると、彼が説明資料を弁護士のために作っていたのが伺える。

 

裁判というのは基本的に交互に書面を出し合うレスバなわけだが、ここでは原告のターンが2回連続で行われている。今度もまた、ゲーム開発とは、ディレクターとは、プロデューサーとは、その他職種の業務とは、といった説明からが内容だ。裁判官が訴訟指揮として求めたのだと思う

 

あらためて彼がどういった作業を担当し、ヴァルハラゲートの何を作ったのか、とマスタを証拠提出した。マスタの命名規則については会社ごとに違うので説明すると、「レイドバトル」「合成」「カードやアビリティなどの全GvGマスタ」「ガチャ確率計算マスタ(一部入倉孝大)」である。

 

多分チャットワークのログにも残ってなかったくらいだと思うが、ガチャマスタについては実際に入倉孝大に、一部かわりに入れといて、と指示をだしてさせた記憶があったので、彼は正直に書いた。裁判官が、そこまで気にしてた(理解してた)とは思えないが、谷直史さんには意地が伝わっただろうか。

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またここで、一つの証拠を突きつけた。それは、谷直史さんが「仕様書はほとんど全て谷さんか入倉孝大が作った」と主張したことに対し、「仕様書の制作には癖があり、明確に3人の作ったものは、その癖で見分けられる。明らかに彼が作ったものばかりだ」という証拠だ。

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彼は嘘や矛盾を見つけるのはどうやら得意だったし、どういう風にそれを説明するかも得意だった。この後も、谷直史さんたちの主張の穴を見つける度に全て弁護士に送って任せていた。弁護士の判断で、彼が見つけていた証拠の一つがここで投入された、というわけだ。

 

手元にあったファイルのプロパティから、入倉孝大が絶対に参加出来なかった頃(gloopsに出社していた頃)から、ヴァルハラゲートの制作が始まっていったことも主張した。これも、相手に都合のいい主張を一旦させてから、本命の証拠をぶつけて打ち破るやり方だろう。

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こういった説明を、全ての仕様書とマスタについて、Flashとは、仕様書とは、マスタとは、プログラムとは、ブラウザゲームとは、といった説明を交えながら主張した。

 

 明確な谷直史さんの嘘を打ち破れて勝負ありだと思うだろうか?こんなのは、ボクシングで言うジャブにすぎない。このジャブだけで半年以上かかっているわけではあるが、ここからドロドロの法廷闘争が7年も続くのだ。

ネトゲ戦記 第三部「収益金配分請求訴訟①」

証拠保全も終わり、実際に訴状を出し、裁判が始まることになる。「訴えてやる」みたいな物言いをする人は星の数ほどいるが、実際に訴えたことが有る人は、「訴えてやる」等とは言わない。黙って準備をして、ある日突然宣戦布告をする。

 

この後グラニとは複数の裁判を戦っていくことになるが、この収益金配分訴訟とは、「ヴァルハラゲートという著作物に参加して、その著作権の一部を所持しているが、その収益金の配分がされない。支払って」という裁判だ。グラニが、約束した金すら1円も彼に支払わなかった「舐めたこと」を倍返しだ。

 

訴訟というのは恐ろしく金と時間がかかるし、勝てるかもわからないものではあるし、弁護士は「言質を取られないで言質を取る仕事」だから、勝率を言ってくれない。勝てる見込みがあるとしか言ってくれない。彼は戦うと決めていたので戦ったが、弁護士の反応を思い返すと望み薄だったのだと思う

 

訴状、裁判という戦争の「宣戦布告文」にあたるこれは、「こういう経緯と理由で、こんだけ支払って」という事だけを書く。今回のケースでは、彼はヴァルハラゲートの6割くらいを作ったと思ったので、6割作りましたと書いて戦った。たとえば、合理的に戦うなら、3割くらいに抑えたほうが費用は安い

 

それは、彼が実際にヴァルハラゲートの6割くらいは作っただろうと思っていたからであり、それが彼の納得の行く宣戦布告文だったのでそう書いた。裁判費用は求めた金額に比例して大きくなるので、当然何百万か追加でかかったが後悔はない。嘘をついて戦ったら、きっと彼の心が折れる。

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今回の訴状受け取りサインもあとで裁判資料閲覧にいったときに見たが、谷直史さんのサインは正常だった。証拠保全のときの、震え倒した字ではない。谷直史さんも、彼と戦うという事実を飲み込み、腹が据わったということだろうと思った。

 

彼は何件も訴えたが、まだ人生で一度も訴えられたことがないので正確にはわからないが、誰かに訴えられると裁判所を幹事にして日程調整と、「答弁書」という、訴状に対するお返事を書くことになる。といっても、この「答弁書」は形骸化しており、「違います。追って理由は説明します」でいい。

 

実際の訴状に対するお返事は、「被告第一準備書面」がこれにあたる。準備書面とは、裁判で自分たちが言いたいことを準備して紙に書きました、という書面なのだろう。実際の裁判とは、某裁判ゲームのような、異議あり!!というものではない。2ヶ月に1回、準備書面を提出しあうレスバが裁判である。

 

被告第一準備書面には次のような事が、”谷直史さんが主張したい事実”として書かれていた。彼はグラニ設立にほぼ関係ない。gloopsを勝手に辞めて、谷直史さんが設立したグラニにあとから参加したいといって合流した。一緒に会社をつくろうなどと約束した事実はない。

 

”彼がヴァルハラゲートの内容について、あれこれと指示を出していたこと”は認めるが、しかしその内容はほとんど採用されていないので、ヴァルハラゲートに反映されていない。ヴァルハラゲートの制作に深く関与していたのは、"副社長となった相川雄太”である

 

”ヴァルハラゲートのマスタや仕様書が、k.miziuharaやJetsという、彼のアカウントで作成されたこと”は認めるが、それは、彼が勝手に制作したファイルを押し付けただけであり、中身は谷さんや入倉が制作したものである

 

”彼がヴァルハラゲートのイラストレーター外注の全てを担当していたこと”は認めるが、全ては谷直史さんの指示の下に作業をしただけである。その他作業の一切も、彼は才能を発揮するようなことは何もしておらず、全ては谷直史さんの指導の下である

 

谷直史さんの主張は概ねこのようなものであり、ヴァルハラゲートの著作権は彼にはない。「職務著作」であると主張してきた。やはりそこで反撃してきたか。想定通りではあった。

 

職務著作とは何か。著作物を作ると著作権が発生する。取り決めがなければ、著作権は関わった人全員に発生する。それでは会社として著作物を作りにくいので、「雇用関係」で著作物を作ったら、「職務」で作ったものであるから、著作権は会社のものである。そんな感じの法律が「職務著作」だ。

 

今読み返していて気づいたが、彼は谷直史さんの主張では後から参加したのに、どうやって開始時点でのファイル制作を担っていたのだろう?これもツッコメばよかったな。この頃の彼には余裕がなく、これに気づけなかったのか?

 

また、彼がgloopsを2ヶ月先に退職し、家にこもって作成した企画書である「purple企画書」は、「次元魔術師」の設定が書いてあるが、ヴァルハラゲートに「次元魔術師」が出てこないので、この企画書はヴァルハラゲートに使われていないのである、という反論もあった。

 

ゲーム業界の人間ならばわかると思うが、企画書というのはあくまでプロットであり、その一部が製品版で変わるなどというのは、日常茶飯事である。だが、これは”裁判官にわからせたほうが勝つ”ゲームであり、”裁判官はゲーム業界で働いたことがない”。谷直史さんの主張を、裁判官が信じるかもしれない

 

裁判が最もしんどいことは、こうやって”裁判官わからせゲームで勝つため”に、”現実を都合よく捻じ曲げ倒した書類”を、何年にも渡って読み込み、どこが間違ってるか”裁判官にもわかるように”説明していかないといけないことだ。本当に、裁判なんてものは、やらないで済むならやらないほうがいい。

 

ともあれ、想定通りの作戦「職務著作」で、想定よりもやや無茶苦茶に現実を捻じ曲げた被告第一準備書面がでてきた。これから、これを崩していくのが”裁判というゲーム”だ。裁判で出した書面は、「やっぱり違いました」という訂正が出来ないし、明確な矛盾を指摘すれば、裁判官がこちらに傾く。そういうゲームだ。

 

 

先週観たもの

 

ミッドサマー(字幕版)

ミッドサマー(字幕版)

  • 発売日: 2020/06/17
  • メディア: Prime Video
 

 「悪いようにはしないから村のまつりにおいでよ」って言う人についていってはいけない。俺の人生で得た教訓として、「悪いようにしないから」といって来る人は絶対に味方じゃない。保証してもいい。

75点

ヘラクレスがアタランテオルタに?ケルベロスはキャンって言わせてツバ吐かせたくらいだから、ケルベロスをヘラクレスがまとう???それなら全身に12の試練まとえば???とか思うし展開は全て先が読めてしまうしトドメの武器も伏線の時点でわかるくらいわかりやすかったけど、これくらいが一番人気が出るでしょうね。Fateを水で薄めて誰にでも飲めるようにした感じ。

75点

天空の扉 14

天空の扉 14

 

また飽きてそうな神様か。 作者はペシミズム神様論の持ち主かな

85点

まあ順当なカラーでしたね

82点

ポリコレベイビーな漫画すぎて怖くて泣いてしまった

74点

説明くさいけどまぁまぁ読めた。価値をつけて能力をバグらせようとするところとか

77点

衛府の七忍 9 (チャンピオンREDコミックス)

衛府の七忍 9 (チャンピオンREDコミックス)

  • 作者:山口貴由
  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Kindle版
 

完全にFate

83点

七つ屋志のぶの宝石匣(11) (Kissコミックス)
 

ぐだぐだ惰性

75点

(アーサーピューティーは夜の魔女+不安の種)/2.5

75点

そういう漫画だったんだ・・・映画紹介系はだいたい行き詰まって5巻未満で終わるね

74点

身から出た鯖(4) (ヤングキングコミックス)

身から出た鯖(4) (ヤングキングコミックス)

 

安定感出てきた

81点

ゴッドガンダム以外にも後継機だしたり、アレンビーのあれこれで島本節を入れたりしてるんだけど、結局今川節に引っ張られてる感がある。ラブラブのところとか。あとブリキ大王ガンダムがしれっといた。いるだろうなと思った。

83点

つぐもも : 1 (アクションコミックス)

つぐもも : 1 (アクションコミックス)

 
つぐもも : 10 (アクションコミックス)

つぐもも : 10 (アクションコミックス)

 

 エロ漫画あがりかな?ってかんじの、丁寧で読めるお色気漫画。ジャンプには来ないタイプの、クソオタ系お色気漫画だね。で、お色気で人気出てきてから、これまでの伏線をいかした重い話。

 82点

私の少年(8) (ヤングマガジンコミックス)

私の少年(8) (ヤングマガジンコミックス)

 

懸命に、たどたどしく、ポリコレベイビーが泣き出さない着地点を探してる感じ 

76点

新九郎、奔る!(4) (ビッグコミックス)

新九郎、奔る!(4) (ビッグコミックス)

 

ヒロインでてきて主人公も独り立ちしてきて面白くなってきた

81点

新しい漫画要素詰め込みと、ゲームシステムちっくと、ランス?の色かな。

79点

瞬きより迅く!! 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

読んでて気づいてたけどやっぱりか。ふなつかずきなのに○○がない。でも可愛い女の子はいる。

 78点

都合が良すぎる展開。ゾンビみたいな知能の方にあわせたか

73点

リプレイJかと思ったらそのうえノートつきとか無敵やんけ。という前提でギャグを楽しむ漫画 

78点

ちやほや色がきつくなってきた

76点

 

ネトゲ戦記 第一部「Cion」

彼がもし1人でリーダーをしていたなら、Cionが参謀でなければ、レベル上限が75になりすべてのHNMが気の狂った取り合いになった頃、タル組は早々に解散していたと思う。あの頃のFF11は、MMORPGは、本当に気が狂っていた。

 

彼がEQのDKPシステムを説明し、タル組ではこういうアイデアを足して運用したい、だから個別にポイント管理できるようにできないかと相談したら、倒したHNMのログと個別の付与ポイントが一覧で確認できる機能が実装された。Cionはそういう人だった。

 

Cionの功績の一つに、HNMの湧きシステムを見抜いたことがある。この頃のFF11は、21-24時間でランダムに湧くHNMを、現地に複数のLSが詰めて、湧いた瞬間に最初に攻撃したLSは戦い、それ以外のLSは何の成果も無くトボトボとデジョンするという、真に気が狂ったゲームだった。

 

CionはマメにHNMのログを入力してくれていた。他のLSに取られた場合も、その倒された時間を残って調べて、次は何日の何時から湧き待ちなのかわかるようにしてくれていた。ある日Cionが気づいた。HNMが倒された時間は、30分前後しかずれない。抽選には法則があるのでは?と

 

仮説があれば立証はすぐだった。HNMは、倒された時間から21時間後から、30分おきにしか湧かない。間の29分は、コントローラーを握って画面を見る必要がない。これは気の狂った湧き待ちを、漫画を読んだりhangameでビリヤードをする時間に変えた。

 

hangameのビリヤードがなぜか流行ったが、Cionが最強だった。ボコボコにされた。何故こんなシステマティックなゲームなのに結果を予測して正確にプレイできないのか?と煽られた。Cionはそういう人だった。

 

Cionが拡充して実装してくれたHNMログ機能は、もう一つの発見を生んだ。キングベヒーモスの、守りの指輪ドロップ率がある日を境に急激に上昇したことに気付き、ログと付き合わせてわかった。参加者全員がピクシーピアスを所持していると、100%守りの指輪が出る。

 

これは、ピクシーピアスが1つしか持てないrareアイテムで、その抽選時に全員が所持していると弾かれ、同じ枠で抽選されていた守りの指輪が出るという仕様バグだったのだと思う。他に気付いていたLSはいたろうか?倒す時にピクシーピアス未所持が抜ければいいので、タル組は全員が守りを持っていた

 

これらはわかりやすい一例でしかなく、Cionは指示しなくても期待以上に動いてくれる秘書だった。「彼の人格はどうかと思うが、彼の才能だけは否定のしようが無い」なんて言うような人だった。仕事をしていてCionが欲しいと思ったことはある。

 

そんなCionが心から喜んではしゃいでるなあと思ったのは、闇王を倒した時と、キャシーでライブカメラにストーカーされた時だろうか。闇王の話はもうしたから、キャシーの話をしよう

 

Cionがいた頃のタル組は最強のHNMLSで、その時最強のHNMを余裕で倒せた。その最たる例が気まぐれキャシーだろう。このHNMは本当に強くて、その鯖最強のHNMLSでさえも無惨に敗退して、誰も倒せない鯖も多数あったという。

 

この頃、FF11の公式HPにあったライブカメラは、タル組をストーカーしていた。毎日タル組のキャシー戦を中継していた。2ch本スレでまたapos軍団のキャシーか、とか言われていたが、彼は正式名称のタル組で呼ばれないことが不満だった。闇の王apos戦法とか名付けたアホのせいだと思う。許さない

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あとから、仕事で関わった人から聞いた話では、タル組があまりに強すぎて、他のLSと比べて異常だったから、戦闘中のログを採取してスクエニチームに研究されてた、と言われた。彼の指揮は見事である、とか。ストーカーされた話はしてないのに向こうからその話をされた。

 

その後彼はゲーム業界に行ったので、スクエニと仕事をする機会があった時に本当か調べて欲しいと頼んでみたが、当時の人はもういなくてわからないという事だった。本当のところはわからない。

 

ただ、ストーカーされていたのは事実だし、ライブカメラの当時の担当キャラではなく、時々destinyというキャラがタル組ライブカメラに写っていた。意外とミーハーだったCionが、今日のキャシーにはdestinyが来てるとはしゃいでたように思う。

 

destinyは広報かなにかのキャラなので、GM権限はありそうだし、それでログを取っていたのか、ただ担当がその日いなくて代役だったのかはわからない。ただ、タル組の強さが異常だったこととして、倒せない鯖もあったこのキャシーを、タル組が11人で倒すところがライブカメラに映った。

 

タル組はこの後新人とかを受け入れて湧き待ちLSになっていくが、この頃はむりに人を増やすより身内でやりたかったので、全員集まった日が18人というところで、人が少ない日もあった。そんなのはお構いなしにライブカメラが先にフェインで待ち構えてるので、やらないといかんなということでやってみたら普通に勝てた。

 

2chは祭りになり、キャシーを倒せてない鯖のスレッドでは「この鯖一位LSの○○はapos軍団が11人で倒すキャシーをフルアラでも倒せないクソ雑魚」という構文が流行った。またしてもapos軍団である。本当に、apos戦法とか名付けたやつは許せない

 

実際は、タル組の戦い方(最初から最後までナイト盾で固定)が最適だと広めたくて、タル組が広報LSに選ばれただけかもしれない。真相はわからない。ただ、タル組以外に真似できるLSはなかった。真似しようとして挑んだNelaは全滅して、塊になって床をなめていた

 

他のHNMLSでは、どこももっぱら盾2枚で交互に挑発する、Apos戦法と呼ばれた彼の使ってない戦法で、後にこれはスイッチ戦法と名前を変えたらしい。SAOのスイッチ戦法がもしこのスイッチ戦法を元ネタにしているのであれば、彼はキリトさんのモデルであるとも言えるし、モデルでないとも言える。これも真相はわからない。

 

だが、そんな"タル組"しか倒せないHNMがいなくなり、全てのHNMが取り合いになってからは、FF11はとてもつまらないものになった。その上、倒せるようになったNelaがスリプルキープだ。最悪だった。それでもCionはマメに記録をつけて、彼と同じくらい廃人だった。

 

やめ時を逃して、ビリヤードをしながら不毛な取り合いをしていたある日、Cionが消えた。ログインしてこなくなったし、連絡もつかない。彼はCionにタル組の資産管理も全て任せていたので、数億ギルの資産も一緒に消えた。数日経って、Cionが消えたのだと実感した。生死すらわからない

 

彼は、全部を任せていた自分のせいだから、足りないが自分の手持ちの資産で精算して引退してもいい。それか、彼の管理でタル組を続けてもいい。選んで欲しいとメンバーに問うた。続けることになった。Cionに任せた責任ならと、彼はそれから嫌いになったゲームを1年ほど続けた

 

1年くらいした頃、不意にCionが戻ってきた。リアルで不幸なことがあり、数日ログインできなかったら、そのままログイン出来なくなった。身の回りが落ち着いたので謝りにきたと言う。

 

彼は肩の荷がおりたので、戻ってきたタル組の資産をその時いたメンバーに均等に配り、さらに自分の資産を初期メンバーに形見分けとして渡せるものは全て渡して引退した。Cionが戻ってきてくれて、きちんと辞め時が出来て良かったと思う。

ネトゲ戦記 第一部「HNMLS」

闇王を倒した頃と前後して、FF11にはHNMという、サーバで最強クラスのパーティでないと倒せない、倒すと3日くらい再出現しないモンスターが追加された。EQでCazic-Thuleあたりからはじまった、Raidモンスターだ。最初はカニ、虫、ロック、シムルグだったかな。

 

この頃のHNMLSの最先端にいたのがタル組だった。想像もつかないだろうが、この頃だと、カニ(King Arthro)や虫(Lumber Jack)でさえも超強敵であり、たしかNelaが負けるところを見た。タル組は盾が完全に安定するので少人数でも狩れるが、他は2倍の人数が最低でも必要だったので取り合いにならなかった

 

Shiva鯖において、HNMといえばタル組がメンテ明けにサクサクと刈り取って回る収穫物だった。そんなShiva鯖において、絶対に諦めなかったHNMLSリーダーがいる。Nelaだ。Nelaは、シムルグに勝てないが、シムルグを狩ろうとした。どうしたか。

 

FF11は、敵占有という概念があり、最初に攻撃したパーティがそのモンスターと戦う権利を持つ。名前が赤くなるのがそれだ。これは、後にFF11が行き詰まった頃、HNMLS同士の取り合いという形でまざまざと見せつけられるが、この頃はまだそこを厳密に争う必要がなかった。

 

Nelaは、その敵占有システムを放棄し、正面から勝てないシムルグをクロウラーの巣とのエリア境界線まで引き込み、エリアチェンジによるタゲリセットとヘイトリセットを利用してシムルグを12人くらいで狩り始めた。Nelaシムルグエリアハメ事件である。

 

この後、敵占有システムに関して様々な揉め事が起こり、それらすべてを見てきた経験から言うと、ここでシムルグを敵占有してない事を理由にかっさらうべきだった。Nelaに倒させるべきではなかった。彼は、UOで敵対ギルドを虐め過ぎたら敵がいなくなり、EQでCLR(ヒーラー)をした経験から優しかった

 

たしか、ハメでシムルグを倒すところを見守って、TellでNelaに「このクソ雑魚がエリアハメして恥と思わないってどんなスラムで育ったんだよお前は親から誇りというものを学べなかったのか」って送ったり、LS内でディアNelaとか呼んだり、他の有名LSリーダーに愚痴ったりしたくらいだったと思う

 

多分これがNelaに火を付けた可能性がある。このあとさらに1年くらい、Nela達はタル組の下位として、ずっと弱くなったHNMだけを倒し続け、しかしHNMLSであることをやめなかった。これが最終的に「引退したAposに7年間粘着するNela」を生みだしてしまうのだろう。

 

ここで完全に開き直ったのか、Nelaはその後も様々な自己中理論でシステムの穴を突いた。「カニトリガーキープ事件」は、カニの前トリガーであるKnight Crabを倒さずにキープし続け、「今取り合いになったら我々は勝てないから取り合いができない。だから我々は根比べで勝負したい」という提案である

 

バーミリオクロークの材料となるダマスク織物をタル組が市場に流さなかったこともあって、カニは他HNMLSもHNMに挑めるようになった取り合いの黎明期、最人気HNMだった。だから全部のLSがNela達を非難し、数日後、トリガーキープ禁止条約がShiva鯖HNMLSにおいて締結された。だがNelaはまだ続ける

 

「Fafスリプル事件」は、同じようにFafnirにスリプルを入れれば少人数でキープできるからと、自分たち以外がいなくなるまで少数でキープし続けて、その後都合の良い時間に狩るという戦法だ。これにもHNMLS一同で非難したが、この頃にはNelaは条約を結ぼうとはしなかった。それがNelaの本性だった

 

彼は、ゲームでそういうシステムの穴をついた、彼の思う卑怯なことまでして泥沼勝負をしたくなかった。同じことをやり返すことは可能だが、それは嫌だった。これも彼が圧倒的強者の立場にいたから、自分に都合のいいルールを押し付けようとしたのかもしれないが。

 

そうこうしているうちにCion事件が起こったり、FF11のHNMやエンドコンテンツの設計がファフニール以降様変わりしたりしていって、彼は引退するときまでどうでもよくなるが、このネトゲ戦記を書くにあたって背筋が凍ったことが有る。

 

彼はCion事件も解決し、セガへの就職も決まった2007年頃にはFF11をすっぱり引退し、社会人として頑張るためにMMORPGは足を洗うと決めた。その後転職のための研究も兼ねてブラウザ三国志にはまるまで、実際にゲームは家庭用ゲームを嗜むくらいだった。だから気づかなかったのだ

 

Nelaは、彼が引退したあとのShiva鯖で、ずっと彼の幻影と戦い続けていた。したらばでは、彼が引退したあとずっと、AposはまだFF11をプレイしており、Nelaに負けたメインキャラは捨ててサブキャラに切り替えただけだ、NelaはAposに勝ったと書き込みが続いていた。証拠を出せと言われてもガン無視だ。

 

そして、そんなApos粘着も7年間ほど続いて、ばったりと途切れる。"Nelaの引退と時を同じくして"。彼は背筋が寒くなった。Nelaならやる。証拠はないがこれはあいつだ、あいつの気配がする。引退したあと7年間粘着されてるとかどんなホラーだよ。

 

彼にとって、「最強のライバル」はLAPISであり、「最恐のライバル」はNelaであり、「戦わなかったけど多分戦ったら最強だったライバル」がlalha氏なのは、こういうわけである。彼がブラウザ三国志で、「彼なりに気持ちのいい戦い方」にこだわったのは、Nelaのトラウマがおそらく影響している。

 

そうやって振り返ってみると、最初のシムルグエリアハメは即座に占有を奪って倒させないべきだったのに、UOの経験からそれをしなかった。全てはつながっている。通して読めば、何故彼がその時そうしたのか、彼には納得がいく。通して振り返ってみたら面白かったから、ネトゲ戦記を書こうと思った。